らだけど」 ノエルは黙って主を見上げていたが、心配そうに口を開いた。 「研究のお役に立ちましたか」 きょとんとしてノエルを見たハゾスは、さぞおかしそうに笑った。……時々、この部下が女の子に見えるが今日は特にそうだ。身体が弱っていることもあるだろう。 「……君はいい子だねぇ」 目を細めて額をさするように撫でた ノエルがようやく、滞りなく喋れるようになると早速ハゾスは問う。 「どう考えても、ノヴァの魔力量は異常だね。……心当たりは」 「恐らく、魂共有の術が関係しているかと。
www.bfstjs.com 確かエリシャ……という名でしたが、その少女とノヴァは魂共有を行っているようでした」 「その少女は」 「死にました」 ノエルは、その時の状況を説明しそれが魂共有を決定づけるものでもあったと話す。頷いたハゾス。 「しかし……そうなると、君に術をかけたのはその少女が死んでからだ。つまり、少女の分の魔力を使えなくなってからということ……」 「もしかすると、完全なる共有が行われていたのかもしれませんが」 ハゾスは目を大きくして、それから暫く考え込んで頷いた。 「成程。ありえない……と言いたくなるが、それであの強さの説明がつくし少女が殺されて精神が暴走したことの説明もつく。まあ、人の精神なんて説明できるものではないんだろうけどね」
ミネトンカ 「しかし、能力の高い魔道士というものは概して常に平静を保つよう己をコントロールすることに慣れているものです。無意識にでも、強い感情を制御してしまう……。その箍が外れたということは、確かに大きな理由があったのでしょう。それがエリシャと考えることは自然です」 「完全なる魂共有が行われていたとしたら、エリシャという子が死ぬ以前ほどではないにせよ……通常通り片割れが死んだ場合の効果が期待できないな。これが完全といえない……つまり、大抵の魂共有であったら片割れが死ぬことで共有していた半分の魔力がそのまま消え失せてしまうんだが。完全なる魂共有が行われていた場合、副産物が生まれる。……例え片割れが死んでも、その魔力が一方の魔力と一体化し残り続ける可能性がある」
ugg それから、多くの可能性を論じ合ったのちハゾスは首を傾げてノエルを見た。 「もし、再度ラトラヴィルと相見えることになった場合、戦いに加われそう?」 「……大変情けない話でありますが、暫くは戦線に復帰することは出来そうにないかと」
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